英雄伝説-碧の軌跡-(PSP/日本ファルコム)
さて、遂に出ました「碧の軌跡」です。
まず、ネタバレないところから。
面白いか、というととても面白いです。
感情移入できるか、というと、できました(前作「零の軌跡」よりも)。
完成度が高いか、というととても高いと思います。
一気にプレイできる瞬発力があるか、というと、あります、と答えます。
値段分の価値があるか、と言われると、限定版であっても3倍か4倍くらいの価値は最低でもあります。
ただ、残念ながら、軌跡シリーズを未プレイの人が最初にプレイするのにはオススメしません。
最低でも零の軌跡から、できれば、空の軌跡のFCとSCをプレイすることをオススメします。この3作をプレイ済みで、かつ空の軌跡3rdもプレイした人なら、何を置いても必ずプレイすべき作品と思います。
しかし、私は本作を絶賛はしません。
理由はたぶん、感情移入できすぎてしまったから、だろうと思います。
以下、ネタバレありにつき、未プレイの方はくれぐれもお読みにならないでくださいね。
さて──。
どんなところに感情移入したかっていうと……。
今回はショートクエストが少な目なんですが、例えばアルモリカ村を舞台にしたストーリーをはじめとする、ゲームの中の街が「生きている」ところです。
本作は、序盤から社会的地位が高い特務支援課。序盤は相変わらず、割とどうでもいいながれで話が進みますが、やたらカンパネルラが出てきたり、赤い星座、黒月なども上手く使われていて、思わせぶりな雰囲気もいい感じで進みます。
でも、こうなんていうか、「その街に暮らしている刑事さん」的なものがあるっていうか、「その街に暮らしている志の高い若者」っていうか、そういう雰囲気がすごくかっこよく描かれているんですよ。
だから、ウェンディたち幼なじみや、エオリアたち遊撃士たちのマヌケなボケなどにもいちいちニヤニヤできたり、とてもいい感じで、それを脅かすものが今後あるんだとしたら、まあ頑張ってそれらを乗り越えて行こう!とか、ほんと思えるくらいなんですよ。
ところが……。
猟兵団「赤い星座」が、日本の自衛隊みたいな組織である警備隊を殺しまくるんですよ。
街を焼くんですよ(怒)。
…………。
主要人物は生き残るし、純粋な民間人に犠牲が出たという話は聞かないものの、重軽傷者は多数出てしまうのです。
一つ間違えば、死んでいてもおかしくはない状況でした。
…………。
そして、進軍してくる帝国軍と共和国軍が壊滅するんですよ。
ここでも軍人とはいえ死者多数ですよ。
帝国に至っては、民間人が巻き添え食っている可能性が高いんですよ。
…………。
リベールの政変のときは、なんというか、なんだかんだいって、みんな「峰打ち」みたいなもんだった印象なんですよ。 実際、人質になったり、気絶させられたりした人はかなりの人数いましたが、死人は1人とか2人だったような気がしますが、気のせいでしょうか。
本作の導入部だって、零の軌跡のヨアヒムの死をロイドは悔しがっているんですよ。
それが、本作は──。
…………。
しかもねえ、守るべきものの力で──ねえ。
…………。
さらに言えば、厳罰に処すべき人たちが情けをかけられて生き残るんですよ。
何だかんだ言って、あれだけのことをやって前科が多数あり(まあそういう商売だけど)、今後もそれを繰り返す危険のある「赤い星座」は倒したヤツは皆殺しにしてもいいんじゃないでしょうか。
……せめて解散くらいはさせようよ。ねえ?
カプア一家とはワケが違いすぎるでしょ。
「銀」の方は、騒動の終息に大きく手を貸したし、本人に再犯のおそれはほとんどないので、特赦扱いできるような気がします。カプアのときと一緒ですね(それにしては罪の数が多すぎるかも?(苦笑))。黒月もそう言う意味では一緒です。ですが、「赤い星座」は違いますよね。
彼らが、警備隊をひたすら無力化するのに止めていれば、できるだけ人殺しをしないようにする姿勢を見せていれば、こんな印象にはならなかったんでしょうけれど。
彼らはやりすぎてました。
なのに、本人たちも特に望んでもない(殺せ、っていってますから)のにあえて殺されないという結果がありながら、収監される描写もなく、野に放たれたらしい描写だけがある。
……因果応報は、ある程度はやらないと。どうにも釈然としません。
これだけ、誰かの「命」、というのを大切にしている話なのに……。
あと、マリアベル。
ディーターの方は罰せられそうな雰囲気があったし、アリオスも赦免されてもいい事情がありますが、マリアベルは逃がしちゃダメだろう。
ディーターよりもあいつのの方が黒幕に近い立場なんだから、あんな呑気に何もせずに、「憎めない」とか言って悠然と見送るなんてあり得るだろうか?
クロスベルだけでも、警備隊に何人の殉職者が出たのか?
警察官だって、あの状態じゃ普通なら何人か死んでいてもおかしくない。
なのにその黒幕を逮捕しようともせずに、しかも、キーアにあれだけの罪深い行いをさせた人間に対して、「憎めない」ってなに?
遺族や関係者の人たちにどう言い訳するの?
そりゃあ、復讐心だけでは前に進めない、というのはそうでしょうとも。
ですが、なんでも許せばいい、ってもんじゃないだろう。
リシャールのときとは違うと思うんですが。
…………。
とまあ、なまじ、序盤から中盤にかけてが良くできていすぎたために、最後までこうした思いを引きずってプレイしてしまったのでした。
だから本作は、手放しでは褒められない──そう思うんです。
また、もう大きなヤマを何度も超えてるエステルやレンたちが大きな陰謀に巻き込まれて打開するのと、まだ未熟ぶりが残っているロイドたちが、カシオスたちでも解決できそうにないようなでかいヤマを解決してしまうのもなんだかなぁ、って感じがしました。
本作では、ランディが少し掘り下げられていますが、相変わらずロイド以外のほかの人物、エリィやティオはスルー気味だし。
最後、8人パーティになるんですが、FCのときのような別働隊行動が一回もないし。なんでかなぁ、と思いました(ノエルの出番がなくなっちゃった……。いや、趣味の問題ですが)。絶対、リーシャのいるパーティと、ワジのいるパーティの二つに分けさせるべきだったと思います。
…………。
ところで、ロイドが主人公の話はここで終わりなのかな、と思いますね。3rdのときみたいに、エンディングの駆け足の展開を補足するシナリオが出そうな感じはしますが(っていうか、本作はこれで、エンディングの最後の写真からは未回収のエピソードがたくさんあるので、是非、いろんな一人称視点の幕間エピソードがほしいところ)。
もう一つ残念だったのが、クローゼとオリビエが結局何にもならなかったこと。
二人とも、ある意味では、観客からすれば、満を持して出てきた身分の高いキャラなのに、結局何もできず……。
なんだったんだろう、アレは(苦笑)。
…………。
とまあ、壮大なストーリーに、次か、その次当たりにケリをつけるための、そういう意味での伏線は大いに張った、そんな作品なのかな、と思いました。
そのせいで、スケールが大きくなり、途中現実感がなくなったのはホントに残念でしたが、最後は最後でまた「軌跡」らしい終わり方ではありました。
前作よりは面白かったのは間違いないんですが、しかし、前作より後味が悪いんですよね。
それもこれも、博士やマリアベル、赤い星座を取り逃がしたせいでしょう。
アリアンロードとエリィの関係の伏線が回収されてませんけど。
…………。
エンディングのシズクちゃんが大きくなっててかわいかったですね(笑)。
大変な力作だと思います。ほかのPSPゲーがカスに見えるほど。
……しっかし、ペルソナ3によく似てるなぁ。
音楽の中に、十二国記やペルソナ・女神転生系のサウンドがあったり、個人的には複雑なところもありました。
まあ、テイルズよりはずっと王道でした。
少しまだ、イラついているんですけど、まあ、面白かったです。
ってな感じで、前作とは違うイメージのレビューでした。
前作の方が最後の演出は上手かったですね(笑)。
昨日クリアしました。
はじめましてniseと申します。私もの空の軌跡三部作からしっかりやっておりますが、貴殿とまったくもって、まったく同じ感想です。
最初に言いますが、私は軌跡シリーズを心より愛していて楽しんでおりますし、次回作も楽しみです。
しかし、最後のマリアベルを。強い人だのなんだの肯定的に送り出したロイド一家を見てポカーンってなりました。しかも最後までマリアベル「さん」敬称付け。
警察官なんだから「マリアベル クロイス。クロスベルを混乱に陥れたくさんの犠牲者を出した首謀者の一人として逮捕する」って言わないと駄目じゃん
なんなのほんとに。
ティオやレンが人生狂わされて、兄が殺されたのイリアが再起不能なのもベルがからんでるわけで、どうしてあんな和んだ雰囲気で送り出してる笑)
制作スタッフも最後にきて詰めが甘かったとしか思えないです。
貴殿の感想ブログはとてもよくこの作品がもったいないところを表してくれてました。
うむー、、
投稿情報: nise | 2011年11 月17日 (木) 13:29
どうもniseさん、初めましてです!
拙レビューに共感いただいたようで、なにより、ありがとうございます。
本作は、ほんとに考えれば考えるほど不思議な構図なんですよね。ランディやアリオスは、落とし前が上手くつけられないから悩んでいるところがあって、それがある程度きちんと描かれているのに、前作通じてもっともマズイ位置にいる人が、落とし前をつけずに逃げてしまう、という……。
アルバもヨシュアも、レンもリシャールも、みんな落とし前をつけているのにねえ……。
これが本作が消化不良を起こした大きな原因だなと、今でも思っています。
ついつい舞台裏を想像してしまうのですが、本作は、メインのライターが途中で放り投げたか、外野から余計な圧力がかかったか、どちらかのような気がしてなりません。途中まで繊細なくらい丁寧なのに、突然豹変した感じがありました。
でも、最後まで、どこか丁寧さが残っていた部分もあり、なんか、複数の人の意見が割れ、妥協して作った感が漂っている気がします……。
しかも、さらに残念なのは、エステルやクローゼたちを登場させてあの結果だったことです。
彼らがもっとかかわっていなければ、ただのロイドたちの力不足、で済んだ部分があったのに……と思わないでもありません。
だって、やっぱり、エステルたちの方が、ロイドたちよりか修羅場をくぐった印象ありますもん。
それに、やはり、パーティ編成が妙でした……。
キャラが増えたなら、制約も増やさないと。本作ほど、別働隊形式をとってほしいと思った作品はなかなかないですよ。それほどキャラがみんな魅力的で、もったいなかったです。
8人がかりで、ちゃんとマリアベルを止めようよ。ねえ? って(苦笑)。
まあ、次回作でエオリアの顔が見てみたいさざなみですが、きっとそれは叶うまいと思いつつ、さあ、風呂敷を随分広げちゃったけど、どう収束させるのかな? と、私はやや冷やかな目で次回作を待ちたいと思います。
投稿情報: さざなみ | 2011年11 月17日 (木) 23:02